冬場にエアコンを使ったときに、異常な乾燥を感じたことはありませんでしょうか。
それもそのはず、エアコンで暖房を使うと、物理的に必ず湿度が低下してしまうのです。
恐ろしいことです。
一体どういう原理で湿度が変わってしまうのか。
冬場の効率的な暖房方法はあるのでしょうか。
エアコンで湿度が下がる原理
なぜエアコンを使うと湿度が下がるのか。
エアコンが部屋の水分を外に捨ててしまっているわけではありません。
夏場はエアコン内で強制的に結露させて水分を外に捨てて湿度を下げていますが、冬場のエアコン暖房ではそういった働きはありません。
相対湿度は室温で変化する
朝起きて7度の室内。湿度は40%。
「寒い寒い。」とエアコンをつける。
部屋が暖まったと思い湿度計をみると、湿度20%。
「んなあほな。エアコンって何で勝手なことをするのかしら。怖い。」
なんて感想をもってしまうかもしれません。
しかしながら、実は湿度が下がってしまった原因はエアコンではありません。
これは相対湿度の公式です。
この公式を理解するとなぜ室内温度の上昇が湿度低下を招くのかが理解できます。
水蒸気量を割っている飽和水蒸気量というものは、湿度100%のときの空気中の水蒸気量です。
その飽和水蒸気量が何で決まるかというと、室温。
飽和水蒸気量は室温によって変動してしまうのです。
室温が高くなるにつれ、飽和水蒸気量は増加していきます。
当然、室内の水蒸気量は変化がありません。
エアコンで暖房するということは、分母である飽和水蒸気量をグングン増やしている状態のため、相対湿度はドンドン下がっていってしまうのです。
これがエアコンで室温が上がると相対湿度が下がってしまう、物理的な原因です。
実際に室内でエアコンの暖房で計測
朝のエアコン起動からどれくらい湿度が変化するか測定してみました。
起動前 気温13.2度 湿度47%
起動30分後 気温21.8度 湿度33%
悲しい程下がります。
湿度で体感温度が変わる
人間が体感する温度は室温だけではありません。
その他に、湿度、気流で体感温度に影響してきます。
扇風機は気流で身体を冷やしているわけです。
湿度も体感温度に大きく影響してきます。
湿度が高いと体感も高く感じられます。
室温24度 湿度60%のとき 体感温度23.0度
(ミスナールの計算式で算出)
湿度は40%~70%の間が人間が快適に感じると言われています。
エアコンで室温を上げることは、湿度が下がり実際の室温よりも低く感じるため、余計に温度設定を上げることになり、光熱費へも影響が出てしまうのです。
室温を上げながら湿度を上げる方法
エアコンだけでは快適な空気環境は実現できません。
湿度を保ちつつ温度を上げるには、暖房と合わせて加湿が必要となるのです。
その方法は、加湿器の併用、若しくはエアコンではなく暖房と同時に加湿を行う暖房器具を使用することです。
効率的な加湿器の使い方
室温が低いままで加湿器を使用しても、飽和水蒸気量の上限が低いため、加湿はとてものりにくい状態です。
一番スムーズに加湿をのせるには、エアコンから出る温風に直接加湿蒸気があたるように加湿器を設置すると、温風に蒸気が乗った状態で部屋にばらまいてくれます。
蒸気加湿方式の加湿器であれば、沸騰した蒸気をばら撒くため元々温度が高く、加湿が乗りやすいです。
象印の蒸気式加湿器は加湿器界のキングです。
ガスファンヒーターは温度と湿度を同時に上げられる
ガスファンヒーターは普通に使っているだけで物理的、化学的に温度と湿度を同時に上げてくれます。
CH4+2O2=CO2+2H2O
メタン+酸素=二酸化炭素+水
ガスファンヒーターを使うと、上記のような燃焼が起こり、水が発生し続けます。
その水分が直接温風にのるため、どんなに湿度が低い状態から使用しても快適な空気環境にしてくれます。
オイルファンヒーターや石油ストーブ等も同様に水分が発生します。
が、燃料の補充の必要のないガスファンヒーターは使用のストレスがなく、とても快適です。
ガスファンヒーターの使用感はこちらに詳しく記載してます。
湿度の高い温風は肌当たりが優しいので、直接風が当たってもストレスになりません。
我が家の息子達は猫のように暖かい場所を求めて吹き出し付近に集まってきます。
結論
エアコンだけでは物理的に湿度は必ず下がってしまいます。
相対湿度の考え方は少々ややこしかったかもしれませんが、エアコンが悪いわけではないので、湿度を上げる方法を考えなければなりません。
快適な空気環境やインフルエンザなどの予防のためにも加湿器の併用やガスファンヒーターなどの使用を検討してみてはいかがでしょうか。