ウルムスツールといえば、シンプルで合理的、機能主義的なデザインを世に拡めたバウハウス(ドイツの学校)の理念を継承するウルム造形大学で生まれた超シンプルなデザインの椅子ですが、超シンプルなデザインの中にも『刻み組み継ぎ』や『相互矧(は)ぎ』などの工法で釘を使わずに頑丈で美しいデザインを実現しています。
そんなバウハウスの理念を冒涜するかのごとく、超簡単なコーススレッド(木ネジ)を使ったDIYでウルムスツールとほぼ見た目が変わらない椅子を作ってみました。
サイズはウルムスツールとほぼ同じなので、端正なデザインが実現出来ているのではないでしょうか。
接合部分は本物と比べればかなり手抜きですが、木ネジでガッチリ留めているのでかなり頑丈です。
材料費は3000円程度なので、デザイン好きな方がDIYで作製するにはお手軽に満足度の高い仕上がりを実現出来るはずです。
という訳で、ウルムスツール風の椅子の作り方をご紹介致します。
正規品はスプルースという材木で作られていますが、パイン材で作製します。
本物のデザインは脚部分にビーチ材を『相互矧(は)ぎ』で接合していますが、今回の簡単DIYでは一切無視して切りっぱなしにします。
作製時間は1時間程度。
ネジ穴はダボでネジ山隠しをしてキレイに仕上げます。
材料を揃える
これだけです。
高さ×幅×奥行=440×390×290(mm)
板厚は17mm、丸棒太さは24mm
ですが、お手軽に作る事を目的としているので、ホームセンターで売っている18mm厚のパイン材と、25mmの丸棒を使用します。
材料のサイズ
18mmの板厚で作製する場合、以下のサイズで材料を準備します。
横板 422mm×290mm を2枚
丸棒 354mm×25mm
ホームセンターでは幅30cm×長さ182㎝の板が3000円から4000円程度で売っているかと思いますので、一枚の購入で完結します。
木材はホームセンターの木材カットサービスを利用
正確なカットで精度の高い安定した椅子を作りたいので、ホームセンターのカットサービスが最高です。
カインズホームだと1カット50円。
200円で完璧な精度の材料が手に入ります。
材料が手に入ったら早速組み立てていきます。
丸ノコで加工する場合
当然丸ノコを所有している場合は自身でカットした方がお安い。
治具さえあればホームセンターのカットサービスと同等のカットも可能です。
垂直にカット出来る丸ノコガイドはマストアイテムですね。
本当に頻繁に使うので、一個持っておくと良いです。
丸棒用の下穴加工
まずは側板の丸棒が取り付く位置に下穴を開けます。
左右からの中央の145mmの位置。
位置は下側から86mmの位置。
正確な位置を出す為には『スコヤ』があった方が良いです。
印を付けたら下穴を開けます。
下穴は木工専用が作業性が良いです。
下穴錐タイプが一本あると木工家具には便利です。
ダボ加工
開けた下穴をダボ錐で加工します。
ダボ穴の奥にネジ頭が留まるようにして、ダボでネジを埋めてしまうわけです。
下穴にダボ錐で加工するとこんな形になります。
丸棒への下穴加工
丸棒のド真ん中に下穴を開けます。
写真のようにやると左手を怪我するので、必ず棒は固定して穴開けします。
丸棒の固定
丸棒を板に固定します。ここでは仮固定として、天板を固定してから本固定しましょう。
先に丸棒を仮でも固定しておかないと、天板と側板を固定した後では、丸棒の下穴にネジを入れる難易度が上がってしまいます。
棒が供回りするので、棒は作業用手袋を付けた手で抑えて固定します。
天板の下穴加工
今回は4点でビス留めします。
側板の中央にビスが打てるように、18mmの厚みの中央の、端から9mmの位置に印を付けましょう。
まずは天板と側板を固定します。
ここで役に立つのがコーナークランプ。
必ず直角に固定出来る最高のアイテムです。
2個用意しましょう。
そのまま側板まで下穴を開けます。
- 板割れを防ぐ
- ビスを真っ直ぐ打つことが出来る
そのままダボ穴加工しましょう。
使用するビスの長さにもよりますが、今回は75mmの長めのコーススレッドを使うので、深めに下穴を開けておきたい為、天板を一旦外して下穴を深めにします。
コーススレッドで固定
先程開けたダボ穴の奥にビスを打ちます。
ビスの選び方ですが、
- 半ネジであること
- スリムタイプのコーススレッドを選ぶ
事が重要です。
なぜ半ネジを選ぶのか
半ネジはビスの根元部分にネジが切っておらず、ツルツルです。
天板からビスを打つ事を考えると、このツルツルの部分は天板部分に、ネジ部分は脚用の板に食い込んでいきます。
この状態でネジを締めることで、天板と板の間に強い引っ張り力が起こります。
この強い引っ張り力で接合部分を固定する訳です。
全ネジタイプの場合引っ張り力は発生せず、板の間にスキマが出来た場合、いくらネジを回してもスキマは縮まりません。
ビスを打つときは引っ張り力で固定することを意識して、インパクトドライバーで強めに回しましょう。
スリムタイプのビスを選ぶ理由
今回は8mmのダボ穴を開けて、8mmのダボを打ち込む訳ですが、通常のコーススレッドはビス頭は8mmかそれ以上なので、打ち込む時にダボ穴が広がってしまいます。
当然ダボがガバガバになって仕上がりが悪くなってしまいます。
頭径が8mm以下のビスを選びましょう。
以下のコーススレッドは頭径7mmです。
元々10mmのダボ穴を開けるのであれば普通のコーススレッドが使えます。
もうウルムスツールになりましたね。
ダボ穴の処理
木工用ボンドをダボ穴に入れる
ダボ穴に木工用ボンドを3滴ほど入れます。
ダボを打ち込む
8mmのダボをダボ穴に打ち込みます。
ダボはボンドの水分を吸収して膨張するので、穴に密着します。
乾燥を待ちましょう。
ダボをカットする
ボンドが乾燥したらダボを専用のノコギリでカットします。
通常のノコギリは刃が左右に少し拡がっていますが、ライフソーは刃が真っ直ぐ。
ライフソーをしならせて板に押し付けると、板にピッタリ吸い付いて、板を傷付けずに面合わせでダボをカット出来ます。
これでウルムスツール風の椅子が完成です!
超頑丈な椅子が完成
実は今回は自分用と息子達用で同時に3個作っておりました。
構造がシンプルなので超頑丈です。
3歳児の双子の息子達には机としてもピッタリです。
ウルムスツールはリプロダクト品も多く販売されていますが、リプロダクト品を買うくらいなら自分で製作してみましょう!
安くて愛着の湧くウルムスツールにそっくりな椅子があっという間に出来上がリます。
デスクもほぼ同じ工法で製作してみました。
雰囲気がマッチするのでオススメです。
以上、『ウルムスツール風の椅子をDIYで超簡単に作製する』でした。