玄関が寒い。
まるで外だ。
原因は分かっている。全面アルミのこのドアだ!
アルミというのは恐ろしく熱伝導率が高いため、室内の熱をドンドン外に捨ててしまっているわけです。怖い。
アルミは木材と比べるとなんと2000倍の熱伝導率を誇ります。
- 熱伝導率の比較
- 空気••• 0.024
- 木材••• 0.12
- ガラス•••1.00
- アルミ•••221
住宅の熱損失の半分以上は開口部分から出ていきます。
窓と玄関です。
窓は内窓の取付で改善が容易ですが、玄関は交換しかありません。
ということで、今回は貧弱な玄関ドアを高断熱ドアに交換するDIYにチャレンジしてみました。
断熱ドアに交換する費用と時間
断熱ドアへの交換にかかった費用総額は約34万円でした。
ドア本体が33万7千円。
それに加えてシーリング材やアルミ用の丸ノコ刃、現地調達の木材などを購入しました。
工事は全て一人で3日程度。
一日目は枠の組み立てで半日。
二日目は既存ドアの解体とドアの取付。
三日目は額縁の取付。
当然初めての玄関の交換工事なので、取付説明書とにらめっこしている時間が相当長いです。
交換前のドアは25年物のトステム製品。
購入した断熱ドア
YKK APのD2仕様のリフォーム断熱ドアを購入しました。
D2仕様は寒冷地仕様で、伝熱する部分を遮断してあるので断然おすすめです。
高級品という注意書きと共に断熱ドアが届きました。
ワクワクです。
スマートキーや枠のオプションで表示価格の+10万くらいになります。
製品色:[BE]マキアートパイン
ドア種類/W寸法製作範囲(ミリ):片袖FIX(+29648円)
ランマ:なし
中桟・ポスト付枠:中桟・ポストなし
袖部ガラス種類(袖あり商品専用):不透明ガラス
開き勝手:右勝手(商品画像)
電源種類:電池式(+24810円)
錠仕様/錠種類/錠色:ポケット/標準ブラック(+26880円)
既設枠種類:半外付枠(+6720円)
下枠納まり:下枠フラット材
外額縁:80(たて額長め)(+22230円)
内額縁(アルミ額縁):55(+16020円)
既存枠寸法(幅mm)(納まり図参照):1199
既存枠寸法(高mm)(納まり図参照):2323)
FIX窓オプションは絶対に避けることをオススメします。
正直やり直したい。。
もし自分でやる場合は、事前に現場調査マニュアルなどを読んでから計測するのがオススメです。
枠の組み立て
まずは枠を組み立てていきます。
初っ端からアルミのカットという萎える展開。
こちらはオプションの下枠フラット材の加工です。
我が家は既存のドアが半外付型なので、組み立て前にオプション金具を取付けていきます。
下穴はないのでドリルビスで固定していきます。
枠の組み立て自体は難易度は高くないですが、下穴のない場所にビスを打つ場面も多く、緊張感があります。
枠部分は断熱材は入ってませんが、樹脂スペーサーで室内外が分離されています。
付属のビスで固定していきます。
あっという間にドアっぽくなってきました。
袖ガラスの取付け
枠に落として、
ゴム(ビード)で一周して固定します。
窓はD2仕様だとガラスはLow-E複層ですが、それでも断熱性は弱いです。
更にガラスの周りの枠には断熱材は入ってません。
既存枠の解体
取付説明書にはサラっと1ページで「こんな感じに要らない枠を取りましょう」と書いてあるんですが、超大変。
とりあえず、ビスを抜けば取れる扉などを取ります。
ガラスの取り外し
まずはガラスを取っていきます。
ビードという押さえゴムを抜くと簡単に取れます。
ズボリ。
既存枠の切断
枠を切ってしまうともう後戻りは出来ません。
しかしながら33万円でドアを買った時点で決意していたはず。と、意を決して金属ノコで切り始めます。
解体時に持っていれば3時間は早く加工出来た気がします。
DIYする人は最初に買いましょう!
これ以降使う気がしないので多用途でとてもお安いのにしました。
取説通りの姿になりました。
残りを頑張って取る
あとは残った部分をペンチでグリグリやったり、ちぎったりしてなんとか取り外します。
壁の中側からビスで固定されているので、ビスを折ったり出来ればキレイに無くなります。
袖部分にはガラスをはめる枠があるので、室外側だけ折り取ります。
室内側は残すと、戸当りと同じサイズになりました。
ここは残さないと新しいドアが設置出来なくなります。
この作業はアクリルカッターが必要。
アクリルカッターで何度も引っ掻くと、すんなりキレイに折れます。
というかアクリルカッターって正式にアルミをカット出来る製品ということに感動。
枠の取付け
いよいよ枠を取付ける準備です。
半外付型用の補強部品を取付け。
指定の下枠やビス穴などに変性シリコンでコーキングしておきます。
コーキングが下手ですね。
ここで奥さんの機嫌を損ねないようにお手伝いを頼みます。
ソロDIYが信条ではありますが、流石に無理でした。
そして奥さんと共にドーン。
入りました。
注文時のサイズが間違っていなかったことが何より嬉しい。
スペーサーのお買い物
枠が入ったところで、室内側はこんな状態です。
この金具と家の柱部分の隙間は現地調達品の木材で埋める他ないのです!
枠をはめるまでサイズが分からないので、ここではお買い物が必須なわけですね。
金具からはみ出さない木材を用意する必要があります。
我が家の場合は24mm✕30mmの木材が必要でしたが、ピッタリの木材って中々売ってないので結局24mmの板をカットして準備しました。
そしてビスで止める。
最終的には金具毎に極太のビス2本づつで固定することになります。
ドアの吊り込み
冬のDIYは辛いものです。
今は1月です。寒いです。
17時にはもう真っ暗。
流石に扉が無いまま夜は過ごせません。
暗闇の中必死に蝶板を枠と扉へ取付け、あとは挿すだけ。
あとちょっとなんだけど。
重すぎて無理。
何度もチャレンジするうちにドンドン体力が削られていく。
ええ。言わなくてもわかっていますとも。
早く奥さんに手伝ってもらえばいいじゃないかって。でもね、僕は奥さんの事が怖いんですよ。
家族の幸せを願って休日にDIYばかりやっているとすれ違いが生まれる事があるみたい。今まで色々あったんです。色々とね。
そういえば玄関ドアの交換は奥さんの希望でもあったことを思い出して、お手伝いをお願いしたらすんなり手助けをしてくれて取付け完了しました。
ということで、扉の吊り込みは二人でやりましょう!
ハンドルとドアクローザーの取付け
ここは指定の場所に取付けるだけなので簡単です。
ハンドルはコネクターをしっかり挿して室内側から固定。
電気錠用の電池入れもコネクターを挿してビス固定。
ドアクローザーもビス固定で細かい調整は不要でした。
スマートコントロールキーで施解錠が可能になりました。
ようやく安心して寝れる。
キーを持っていればボタンのタッチだけで解錠できます。
最高なんです。
玄関ドア枠のシーリング
現段階では鍵が掛かるだけで、隙間だらけ。
スペーサーとコーキングで耐震性と防水性と気密性を高めます。
スペーサーを入れる
室外側の新設枠と既存枠の間にスペーサーを入れます。
またカインズでちょうどいいサイズの木材を探しにいきます。
6mm〜9mm厚の木材を隙間幅に合わせて押し込んでおきます。
バックアップ材の取付け
バックアップ材とは、シーリング材の受けになってくれる発泡ポリエチレンです。
これだけでも少し断熱性が上がりそう。
10mmのものを使用しました。
ホームセンターで売ってます。
コーキング
絶対に外気の侵入を許さない!という気持ちが重要です。
タップリと変性シリコンを打ちます。
外気に接する部分は特に、通常のシリコンシーラントではなく、変性シリコンの必要があります。
施工説明書でも推奨されています。
室外額縁の取付け
額縁の取付けは難しくはないですが、結構面倒です。
計測をミスすると取り返しがつかないので綿密な測定が必要です。
丸ノコがないと正確なカットは難しい。
縦枠のカット
外側の額縁は2つの部材で構成されます。
アルミの枠なので、アクリルカッターで幅に合わせてカットします。
長さもカット。
そして額縁を合体。
そしてビス固定。
下穴は無いのでドリルビスで固定します。
白いのは元から付いてる保護シート。
そしてカバーをはめる。
キャップもカットして付ける。
全部取り付けるとこんな様子です。
ええやないか!
熱橋部分の断熱
室内側も同様に枠を付けるのみですが、その前に断熱的に気になる場所が。
この金具が外側と繋がっていることと、木材と枠の隙間に昔のドアの枠が見えていて、室内外を繋ぐ熱橋になってしまっているのです。
施工説明書にはそんな指示はないけれども、今しか出来ないので断熱してしまいます。
ということで発泡ウレタンを購入。
初めての発泡ウレタン。
怖いなあ。と、念の為しっかり養生して、霧吹きで周囲を湿らせて吹いてみました。
うーむ。いい感じかなあ。
なんて思っていると、ぴええええええ。
ニョキニョキ膨らんできた!
こんなに膨らむんですか!恐怖!
ちょっとどころではなく吹付け過ぎたようです。
固まるのを待って、室内額縁に納まるようにカットしました。
2倍程度に膨らむことは想定していましたが、体感では4倍くらいに膨らみました。
室内額縁の取付け
こちらも室外額縁と同様にサイズを合わせてカットして固定するだけです。
発泡ウレタンも隠れてキレイに仕上がりました。
玄関ドアの断熱効果
断熱ドアに交換してみての実感ですが、外から室内に入るとほんのり暖かくなりました。
以前はリビングと玄関の間の扉を開けると恐ろしい冷風が入ってきていましたが、大分優しい冷風に変化しました。
玄関は空調していないので、やはり寒いことは寒いです。
サーモグラフィで確認すると明らかに変化が起きてます。
が、袖部分の断熱性能が乏しくちょっと残念。
暖房の影響を受けづらい早朝の室温の変化がこちら。
リビングの暖房を切った時間の違いや、夜中の外気の状態の違いに影響を受けるので、明確と言える程の室温の改善には至りませんでした。
断熱というのはやはり一部だけの対策では大きな効果が得られない事を実感しました。
このサーモグラフィを見てしまったからです。
昨今の住宅は土間のモルタルの下に厚いスタイロフォームを敷く事が通常ですが、当然我が家はそんなものはないはず。
一部分でも断熱欠損があると熱は逃げ続けてしまいます。
ということで、次は土間にスタイロフォームを敷いてみます。
廃材を売ってみました
サッシ類のアルミは結構高額で買取してくれるようなので、新設のドアの端材と家中の不要なアルミを車に積んで売りに行ってきました。
ガラスの部分が多いドアでしたが、総計26kg。
なんと7969円になりました。
普通に捨てたら粗大ゴミになるところですが、ありがたい。
以上、『玄関を断熱ドアに交換するDIY』でした。