DIYで家の断熱性能を高くしたいと思ったときに思い付くことといえば、内窓の取付けや床の断熱材の交換などが代表的なものかと思います。
しかしながら、家の断熱性能を高めるよりも最優先でやるべきなのがすきまの対策です。
窓や壁の隙間や、リビングと廊下の間に隙間が開いていると、そこから外気や玄関の冬の冷えた空気や夏の熱い熱気が侵入しているはずです。
いくら手厚く断熱された建物でも、冷たい風が室内を通り抜けていては全く意味がありません。
まず対策するべきは断熱ではなく気密性を上げること。
外気の侵入の遮断です。
気密性を上げて大きく減った暖房費
我が家は暖房はガスファンヒーターなのですが、気密性を年々上げていくと、明確にガス使用量が減ってきました。
こちらはガス使用量の推移です。
気密性を上げることで光熱費の高騰に一石を投じることができます。
和室の畳のこんなところに隙間
畳を持ち上げてみると、あら大変!
この隙間、恐ろしいことに外と繋がっています。
サーモグラフィで撮影するとこんな状態。
まるでベロのように外気が侵入しています!
カットしたグラスウールを詰めておきます。
詰めたあとはこうなりました。
畳寄せの下は一周隙間だらけだったので、ぐるっとグラスウールを詰めました。
この対策は非常に効果が高く、暖房の効きが良くなったため、ガスファンヒーターの設定温度を2度下げる運用に変更しました。
一年後、やはりグラスウールだけでは気密性が足りないと思い、さらに気密テープで完全に塞ぎました。
75mmの幅広の気密テープを使っています。
こういう隙間を見つけて、断熱材や隙間テープ、気密テープで塞いでいくと、少しずつ温かい家に変わっていきます。
畳の下の合板のつなぎ目
和室の畳を上げると、構造用合板が貼ってあると思います。
かなり古い家の場合は荒板かもしれません。
構造用合板のつなぎ目も外気の入口になってしまいます。
高気密住宅の新築だと家の床全部の合板のつなぎ目を気密テープで塞ぎますが、和室だけはあとからでも塞ぐことが出来ます。
息子がお手伝いしてくれました。
柱周りも外気が入り込む場所が多いかもしれません。
築30年位の住宅は気密性は全く考慮されてません。
せっかくなので全部気密テープで塞ぎました。
壁の隙間をふさぐ
やけに寒い押入れ。
よく見ると隙間から冷気が侵入していました。
コーキング材で埋めていきます。
サーモグラフィで見ると隙間がハッキリ分かります。
コンセントからの冷気を塞ぐ
家の中にはコンセントやスイッチが山程ありますが、相当断熱気密にこだわった家でなければコンセントは外気と繋がっています。
こちらはインターホンですが、裏のボックスから冷気が漏れまくりです。
パナソニックさんからこういった部分を塞ぐ防気カバーが発売されています。
取外すと信じられない位の気流を感じます。

ちょっと分かりづらいですが、配線を防気カバーへ貫通させて、防気カバーを枠の下に取付け取り付けます。
(電気工事士必須)
取付後は見事に改善されます。

玄関からの冷たい空気を遮断する
築年数が古い住宅の場合、玄関ドアに断熱材を使用していることは稀でしょう。
アルミやガラスの素材で作られているのではないでしょうか。
特にアルミは熱伝導率が非常に高く、パソコンのCPUの放熱板としても利用される程。
以下の素材ごとの熱伝導率(w/m•k)の比較をみれば一目瞭然。
数字が小さい程断熱性能が高いと言えます。
- 空気••• 0.024
- 木材••• 0.12
- ガラス•••1.00
- アルミ•••221
もはやアルミの数字なんてズッコケるレベル。
玄関がアルミの為に、玄関はほとんど外と変わらない気温になってしまう訳です。
玄関扉を交換するには30万円程度の費用が発生してしまうので、玄関とリビングの間に隙間が無くなるようにすきまテープを貼ってみます。
我が家ではリビングと玄関の間の扉の下に少々大きめの隙間がありました。
こんな程度の隙間でも、リビングで座っていると冬場は冷気をとても感じます
すきまテープですきまを塞ぐ
隙間テープにも多々種類がありますが、美観を保つ目立たないテープを選びましょう。
こちらの商品はカインズプロで売っているモヘア隙間テープなので信頼度が違います。
毛の量がハンパじゃない。
モヘア型の隙間テープは床に触れても抵抗が少ない上見た目も良いのでオススメです。
高さが4mm、6mm、9mmから選択出来ます。
扉を外して底面に貼り付ける
まずは扉を外します。
真ん中付近に貼り付けておしまい。
今回は9mmのモヘアシールを貼り付けてます。
左寄りになっているのは、息子のビー玉が入らないように。
底面に貼り付ければ全く目立たずに隙間を埋める事ができます。
換気扇の使用は程々に
リビングダイニングキッチンなどであれば、常時換気扇を運転している方もいらっしゃるかもしれません。
しかしながら、換気扇で室内の空気を外に捨てるということは、空気環境としては新鮮な空気と循環出来るメリットはありますが、空調機器でお金を掛けて温めたり冷やした空気を外に捨てていることと同じでもあります。
リビングに人が少ない時間や、無人のときには換気扇は「弱」で運転するなど、必要最低限の換気で室内のエネルギー損失を防ぎましょう。
家の換気を一切止めるのは身体に良くありません。
ルーバー窓には内窓を
ルーバー窓は一昔前に流行った換気に便利な窓ですが、断熱性能が最低ランクです。
ガラス同士を重ねて閉じる仕組みのため、外気を遮断しきれず微小なすき間風が入ってきてしまう訳です。
そんなルーバー窓には複層内窓の取付けが一番です。
複層内窓の取付けで3重窓になるため、外気の冷たさの一切を遮断してくれます。
DIYで内窓を取付けするのは思った以上に簡単なのでチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

すきま風の影響は思った以上
住宅を断熱する場合、熱伝導率や熱貫流率の数値を気にして断熱性能を上げていきます。
熱伝導による熱の移動のしやすさ。
温度により変動する。
壁などを介した2流体間の熱の伝わりやすさ。
断熱性能が高いと熱貫流率は下がる。
断熱とは、熱伝導率の低い(熱が伝わりづらい)素材を使用して、屋外と屋内の熱貫流率を下げることを目的としている訳です。
しかしながら、気密性が低くすきまが多い家の場合、外気の侵入によって熱交換ではなく空気自体の交換がされてしまいます。
せっかく暖房で温めた空気をそのまま外に捨ててしまっている訳です。
窓のガタツキがあるのであれば調整してキッチリ閉まるようにするか、複層内窓を付けてしまうのも効果が高いです。

スキマを探そう
家の中の色んな場所に手をかざして風を探してみましょう!
少し高いですが、サーモグラフィカメラを買うと隙間や断熱出来てない場所が一目瞭然です。
自分が使っているのは安いこちらです。
ここは内窓を付けた場所ですが、窓が少し傾いていました。
調整して隙間用パッキンで対策です。

すき間を塞いだらDIYで断熱工事にチャレンジしよう!
すき間を埋めて気密性が高くなったら、DIYで断熱性能を上げていくのも一興です。
リフォームで家丸ごと断熱というのも可能です。
流石にDIYは無理ですが。
こちらもご参考になれば。

以上、『すきま風を防ごう。断熱よりも優先すべきは外気の遮断です。』でした。