トイレに換気扇がない。
由々しき事態である。
トイレに換気扇がないと、自身が臭さの被害を受けるというネックはもちろん、客人がトイレを使用した場合、
「ヤバ。今日は臭い日なのに。換気扇無いなんてこの家はどうかしてる。」
と思われかねない。
常時小窓を開けるしか術がなく、冬は尋常ならない寒さとなってしまうのも大きな問題。
ということで、DIYで換気扇を新設してみました。
換気扇の交換ではなく中古住宅に新設というのは中々大変な作業。
大きく電気的な工事と建築的な工事が分かれます。
キッチンの換気扇の設置はこちらでご紹介しています。
換気扇設置の為の準備物
中々盛り沢山。
写真のもの以外も多々使用しています。
- 換気扇本体
- アルミフレキダクト
- ダクト用ニップル
- ガラリ
- 出口用VP管
- 電材各種
安定のパナソニック。
音が小さくて結構吸います。
100Φのものを2本使用。
ダクト同士の接続と、出口のVP管との接続用。
強制換気用のガラリ。100Φ用。
強制換気用と自然換気用で開口部の大きさが変わります。
換気扇に使うなら強制換気用。
防虫網付きもありますが、ゴミ詰まりが発生しやすいのがネック。
トイレの換気扇なら防虫網付きで問題ないはず。
内径が100mm、外径が106mmほど。
アルミフレキとガラリを直接接続すると、防水が難しいのでVP管で外部と接続。
VP管の固定には、こちらの商品を使用。
1.6mm2芯のVVF線、新規スイッチ、アース線など。
配管ルート。換気扇のDIY
我が家のトイレは階段下に設置されています。
天井高が階段で抑えられており、付近の点検口からは天井の様子が一切見えません。
トイレの天井では一切作業が出来ない状況。
そのため、浴室の天井裏スペースから排気を行う事にして、トイレの天井とダクトで繋ぐ事にしました。
6m程の距離があります。
フレキダクトの配管
このように、アルミフレキダクトは4倍程の長さに伸ばす事が出来ます。
今回はトイレの上から浴室上部の壁まで配管。
換気扇を設置してからダクトが配管出来ないなんて事態を避ける為、排気のルートを先に確認しておきます。
一本では足りないので、2本のダクトを接続して使用。
先端をトイレの天井へ落として、浴室天井裏でダクトをニップルで接続。
しっかり差し込んでアルミテープで固定します。
天井の開口
開口の位置は、天井に下地が無い部分を選ぶこと。
コンコン音を鳴らして音が響くなら下地は無いはずです。
不安な場合は下地調査のどこ太君で調査しましょう。
購入した17センチ角の換気扇は、177mmで開口するように施工説明書に記載があったので、その通り開口します。
ボードの粉が落ちて来る結構嫌な作業です。
開口したら準備していたダクトが見えました。
最高です。
換気扇用の天井裏下地材の補強
石膏ボードにはネジは効かないので、換気扇をビス固定するために、木材で下地を作ってあげる必要があります。
下地材は家の構造材へ固定して石膏ボードへ負荷が掛からないようにするわけです。
天井裏に潜れない状況でそんな事が可能なのでしょうか。
ということで、こんなものを作ってみました。
30mm角の木材で開口部分の177mm×177mmと同じ大きさで開口。
奥側は開口部直近の梁へビス固定。
手前側は既存の天井下地に接する長さにカットし、ビスを斜めに打って固定。
準備万端であります。
入らない。
悲しい。
ですが、1か所の接続部分をバラしたらなんとか入りました。
天井裏の中で再固定。
あとは位置を調整してインパクトで固定。
思惑通り、ピッタリで頑強な下地が完成しました。
換気扇用の電気の配線
通常はトイレ内の照明コンセントと同じブレーカーに換気扇を加える形が一般的かと思いますが、既存の配線に全く手が届かないので、換気扇のみの単独回路にすることにしました。
ここからの電気工事は電気工事士の資格が必要です。
お持ちでない方は試験を受けてみましょう。
換気扇用の複線図
手書きですみません。
スイッチ用の隠蔽配線
元々は照明スイッチ一個。
パナソニックのフルカラーシリーズ。
このスイッチ部分に換気扇のスイッチも追加したい。
稼働中に赤く光らせたい。
過酷な通線作業
スイッチカバーを外すと、このように既存配線があります。
このスイッチボックスと換気扇用の開口部分を配線したい訳です。
スイッチボックスの上部左側の通線用の穴を開け、上から手探りで壁の中へ電線を通していきます。
電線が見えた!
スイッチボックスの穴付近に電線がチラリ。
これを簡単に引っ張り出せるほど甘くはなく、約1時間掛けて引っ張り出しました。
2芯の一本は不使用ですが、3芯の電線を使った方が良いですね。
そしてスイッチを取り付け。
既存のスイッチもワイドシリーズのホタルスイッチに変更して非常にカッコよくなりました。
パイロットランプ付きスイッチ WT5241
ホタルスイッチ WT5041
スイッチ用取付枠 WT3710K10
スイッチプレートホワイト WTC7101W10
クリアハンドル WT3032CD
クリアハンドルはちょっと高いけどオシャレで良いです。
こちらの場合は既存の照明用の配線2本に1本スイッチに追加するだけなので作業も非常に楽です。
我が家も換気扇が付けっぱなしでトイレ周辺がとても寒かったのでこちらに変更しました。
電線の結線
ブレーカーから開口部へ2芯のVVF線を通して接続の準備をします。
換気扇への接続用に50cm程度の2芯線を一本準備。
ブレーカーとスイッチの電源線の接続
ブレーカーからの黒線と、壁内を通したスイッチ行きの配線の黒線を接続。
スイッチからの戻りと換気扇への電源線の接続
壁内を通した白線と換気扇への黒線を接続。
換気扇からの接地線、パイロットスイッチからの接地線、ブレーカー行きの3本の接続
換気扇用の2芯の白線、パイロットスイッチからの白線、ブレーカー戻りの白線を接続。
ここの結線はリングスリーブを使っているのでビニールテープで保護しています。
ジョイントボックスの取付
接続部分は全部まとめてジョイントボックスに納めます。
換気扇本体が当たらない位置へジョイントボックスをビス固定。
17センチ角の小さな穴しかない中、法令遵守で真面目にやります。
アース線を接続
ブレーカーのアース端子と本体をアース線で接続。
本体側のアース端子は写真を撮り忘れましたが、接続用の端子がアース接続部分に付属しています。
1.6mm以上のアース線を選びます。
本体との接続
接続部分の写真は撮り忘れてしまいました。
左側接地側、右側に電源側の電線を挿します。
ブレーカーとの接続
ブレーカーをオフの状態で接続。
分電盤への配線は周囲に点検口がないと難しいと思います。
ない場合は作りましょう。
換気扇の試運転
ブレーカーを投入してスイッチを入れてみる。
動作良好。
換気扇本体とダクトの接続
パナソニックの換気扇はダクト接続部分を分離して先に固定します。
この仕組みのおかげで、後付の施工でも作業がスムーズです。
ダクトを接続し、アルミテープで固定します。
アルミテープはナデナデして配管に密着させます。
そのままダクトを天井裏に入れて、ビス2本で下地にしっかり固定します。
石膏ボードが崩れないように、ドリルで下穴を開けた方が安心です。
換気扇本体の固定
先行して固定した部分に挿し込むように設置。
そして下地材にビス固定します。
4本程度のビスで十二分にしっかり固定されます。
最後にカバーをつければ本体の完成です。
換気扇の換気口を作る
最後に排気口を作ります。
換気扇は電気工事、本体工事、換気口工事と盛り沢山です。
トイレ用の換気扇ですが、トイレの天井には全く手が届かないので、お風呂の天井裏から排気します。
お風呂の天井裏は換気口を作るのにバツグンに適しています。
- お風呂には大きめの点検口が付いている
- お風呂の外壁には断熱材が施工されない事が多い
写真の通り、内側は野地板と防水紙のみ。
換気口の開口
外壁を貫通部分は、フレキダクトでは防水が出来ないので、VP管が推奨されます。
詳しくは住宅換気口の防水マニュアルが理解しやすいです。
なので、以下のVP管を使用しました。
内径が100mm、外径が106mmほど。
VP管の固定には、こちらの商品を使用。
換気用の塩ビパイプにピッタリ過ぎる寸法。
気密フランジは本来は防水処理に使用されるものですが、配管の固定にもピッタリ。
外壁への開口作業
こちらの商品の中心が端から80mmの位置なので、間柱から80mmの位置に穴あけ。
外壁を貫通させて、外側へ目印を作ります。
本来外壁へ大きい穴あけをする場合は、コアドリルなどを使用しますが、木材用の自在錐というものを使ってみました。
開口サイズを自由に調整出来るので凡庸性がありますが、インパクトドライバーに取付可能なものは木材用しかありません。
開口はなんとか出来ましたが、木材用でモルタル壁に穴を開けるのは結構不安。
危ないのでコアドリルやホルソーで開口しましょう。
110mmか115mm位で穴を開けるとコーキング材が隙間にも入っていい具合かと思います。
インパクトでは使えません。
換気用VP管の固定
VP管の正しい固定方法というのがはっきり分かりませんでしたので、間違い無いであろう方法で固定しています。
所詮はDIYなので参考程度にして下さい。
VP管を外壁から5mm程出した状態で固定します。
内側は気密フランジを使って固定。
右側は既存の固定穴を使用。
左側は補助材を打って、そこにビス固定。
気密フランジは超ピッタリサイズなのでVP管はほぼ固定されますが、最後にガラリを押し込むので1か所気密フランジとVP管をネジ留めしました。
しっかり固定されます。
配管の勾配
配管内への雨水の侵入を防ぐため、VP管は勾配を付ける必要があります。
1/30の勾配を作るべし。
とされていますが、補助材に薄い木材を挟んで角度を作りました。
防水コーキング処理
防水のため、コーキングを打ちます。
プライマーの塗布
コーキング材と外壁の接着を良くするために、プライマーを塗布します。
変成シリコンコーキング
プライマーが乾燥したら、変成シリコンコーキングでコーキング。
外で使うコーキングは環境負荷に強い変成シリコンコーキングを選びます。
ガラリの挿入
ガラリとVP管の隙間を埋めるため、ガラリにコーキング材を塗布します。
挿入していきます。
ガラリには『鞘抜け止め』が付いてますが、そのままだと抵抗が大き過ぎるので、金槌で潰しておく方が良いかも。
※実は妻の要望により防虫網付きのガラリに挿し替えました。
ガラリ周囲のコーキング処理
VP管へのコーキングと同様に、プライマー処理の後に変成シリコンコーキングを打ちます。
コーキング材の均しには、濡れた指で撫でるかヘラを使いましょう。
VP管とフレキダクトの接続
最後に、ニップルを使用してフレキダクトとVP管を接続します。
ニップルを入れて
アルミテープで固定。
換気扇の完成です!
換気扇の完成後記
トイレに換気扇を作ろう。
と簡単に思っておりましたが、実際やってみると電気工事、空調工事、建築工事の複合的な作業で、結構大変な工事となりました。
コンセント式のパイプファンの設置であればもっと簡単に終わった工事かと思います。
ちゃんとした換気扇を後付することは中々に大変でしたが、細部まで手を抜かずに施工してますので、DIYでトコトン頑張るどなたかのお役には立てる内容の記事にはなったかと自負しております。
参考になれば幸いです。
以上、『換気扇取り付けのDIY。トイレに換気扇を新設する。』でした。